地元・鳥取が誇る才能!『時計は二度凍らない』を読んで
皆さん、こんにちは。
日々の業務の息抜きにと、先日、当社の隣にある本屋さんをふらりと覗いてみました。そこで偶然見つけ、あまりの面白さに思わず一気読みしてしまった一冊があります。
鳥取県出身・在住の作家、魚崎依知子さんのミステリー小説『時計は二度凍らない』です。
江戸川乱歩を彷彿とさせる「令和版」ミステリー
物語の主人公は、小学生の時に親友を変質者に殺されたことがトラウマとなり、身体の成長が止まってしまった女子高生。現在進行中の新たな事件と、過去の凄惨な事件が交錯する中、彼女がその深い洞察力をもって真相を深掘りし、解決へと導いていくというストーリーです。
私自身、子どものころに江戸川乱歩が描く戦後の昭和を舞台にした、あのおどろおどろしくも引き込まれる事件解決ものによく夢中になったものですが、この作品はまさにその凄みを「令和版」にアップデートしたような魅力がありました。
心の傷と向き合い、前へ進む主人公の姿
主人公はクラスに馴染めず保健室登校をしていた、いわばマイノリティな存在です。毎日を悩みなくキラキラと過ごしている人にとっては、彼女の複雑な感情や行動は少し理解しがたい部分もあるかもしれません。
しかし、私がこの作品に強く惹かれたのは、彼女が心に深い傷を抱えながらも、少しずつその傷を癒やし、もがきながら前に進んでいく姿です。おどろおどろしい事件の謎解きと並行して描かれるその成長の過程がとても丁寧で、心からエールを送りたくなるような好感を持ちました。
誰しもが抱える「見えない傷」
考えてみれば、子供であれ大人であれ、人は生きている限り、誰しも多かれ少なかれ何かしらの心の傷やしこりを持っているものではないでしょうか。
表向きは平気そうに、元気に振る舞っていても、見えない痛みを抱えながら日々を懸命に生きている。主人公の姿を通じて、人間の強さと脆さ、そして立ち直っていく力の尊さを教えてもらった気がします。
地元から生まれる名作への誇り
それにしても、私たちの地元であるここ鳥取に、これほど深く引き込まれるミステリーを書かれる方がいらっしゃるというのは、本当に誇らしい限りです。同じ地域に拠点を置く者として、大きな刺激と活力をもらいました。
ミステリーとしての面白さはもちろん、一人の人間の物語としても読み応え抜群です。皆さんも、お近くの本屋さんで見かけた際はぜひ手に取ってみてください。心に静かな勇気をくれる、おすすめの一冊です。
