「勝頼」になるな――丙午の年に想う、真の事業承継とは
前田 真教 社長BLOG|株式会社エステートセンター代表
2026.01.08
皆さま、こんにちは。
2026年が幕を開けました。今年の干支は「丙午(ひのえうま)」です。実は、戦国時代の悲劇の名将として知られる武田勝頼も、同じ丙午の生まれであったといわれています。
今回は、この節目の年にちなみ、我が社の会長がかつて祖母の実家(叔父)から繰り返し受けていたという、ある「戒め」についてお話ししたいと思います。
「必勝不敗」の父しか知らなかった不幸
会長はよく、**「勝頼になるな」**という言葉を耳にして育ったそうです。歴史家・加来耕三さんの解説を拝見し、その言葉の真意が改めて胸に響きました。
武田信玄という偉大な父を持った勝頼。彼の最大の不幸は、**「育った環境が良すぎたこと」**にありました。
- プロセスの欠如: 父・信玄がどれほどの苦労をして国人衆をまとめ上げ、人心を掌握したのか。その泥臭い過程を見ずに、完成された「最強軍団」を譲り受けてしまった。
- 虚勢と孤独: 自分を必要以上に大きく見せようと、城という「形」に頼り、力で押し通そうとした。
- 試練の欠如: 父・信玄が祖父・信虎の失敗を反面教師にして育ったのに対し、勝頼は「勝って当たり前」の背中しか見てこなかった。
逆境を経験せず、成功した組織の「果実」だけを手にした二代目が陥る罠が、ここには凝縮されています。
経営者の使命は「システム」の構築にある
しかし、加来さんはこうも指摘しています。これは勝頼一人の責任ではなく、父・信玄の「仕組みづくり」の不足でもあったと。
どれほど個人の能力が秀でていても、それは一代限りのものです。 真に問われるべきは、**「逆境を個の力ではなく、集団で克服するためのシステム」**を遺せたかどうか。勝頼を支える参謀を確定し、周囲が納得する形で公的に育成・継承するタイミングを逸してはならなかったのです。
2026年、次世代へ繋ぐ覚悟
「私情を捨て、公的に立派な、周囲の認める後継者を育てる」。 これは、現代を生きる私たち経営者にとっても、最も重く、避けては通れない使命です。
城(ハード)は守りの象徴に過ぎず、それ自体が勝利を運んでくれるわけではありません。大切なのは、そこで働く「人」の心をどう組織化し、逆境に強いチームを作るか。
丙午の今年、勝頼の歩んだ道を反面教師とし、より強固な組織文化と、揺るぎない事業承継のあり方を追求していきたいと考えています。


